冨田勲
小档案
冨田 勲(とみた いさお、1932年4月22日 - 2016年5月5日)は、日本の作曲家、編曲家、シンセシスト、シンセサイザー音楽作家。
1960年代には作曲家としてNHK番組や手塚アニメに多くの名曲を提供。この時期までは美しいメロディとシンフォニックなサウンドが特徴だったが、その後電子音楽に大きくシフト。1970年代半ば以降にリリースした一連のシンセサイザー音楽作品を初めとする数々の実績により、世界を代表するシンセサイザーアーティストの第一人者として知られている。
小简介
1974年、1年4か月を費やしたシンセサイザー音楽作品としてのデビュー・アルバム『月の光』を制作。このアルバムのリリースを日本の各レコード会社にもちかけたが、「クラシックでもポピュラーミュージックでもなく、レコード店に置く場所がない」などという理由ですべて断られた。したがって、米RCAレコードからリリースすることになり、1975年1月18日付けのビルボード(クラシカル・チャート)で2位にランクされた。同年、日本人として初めてグラミー賞にノミネートされ、逆輸入される形で日本でも知られるようになった。さらに、次作の『展覧会の絵』やその2作後の『惑星』で、ビルボードで1位にランキングされ、以降『バッハ・ファンタジー』(1996年)まで、いずれも世界的なヒットを記録している。冨田のシンセサイザー作品群は、すべての音色づくりはもちろん、全パートの演奏と録音も冨田自身が一人で制作したものであり、現在主流となるパーソナルスタジオでの音楽制作の先駆けといえる。
ここで教えを受け、助手として働いた松武秀樹は、後にイエロー・マジック・オーケストラにおいて、第4のメンバーとして、シンセサイザー・マニピュレーターという役割に就いた。海外ではスティービー・ワンダーが来日した時、最も尊敬している音楽家として冨田の名前を挙げている(後に長良川でのサウンドクラウドに登場している)。マイケル・ジャクソンも、来日した際、冨田のスタジオを訪問したことがあった。また、『惑星』の立体音響に深く感銘したフランシス・フォード・コッポラ監督は、映画『地獄の黙示録』の音楽を冨田に要請したが、契約の都合で実現には至らなかった。
1979年には日本武道館で、ピラミッド・サウンドによる立体音響ライブ「エレクトロ・オペラ in 武道館」(小松左京プロデュース)を開催。1980年にはジャパンレコード(現・徳間ジャパンコミュニケーションズ)の社長に就任。しかし、アーティストとしてはRVC(現・BMG JAPAN)所属のままであった(その後も徳間ジャパンからのリリースはなかった)。1984年オーストリアのリンツでドナウ川両岸の地上・川面・上空一帯を使って超立体音響を構成し、8万人の聴衆を音宇宙に包み込む壮大な野外イベント「トミタ・サウンドクラウド(音の雲)」と銘打ったコンサートを催す。以後、世界各地で展開してきた。ドナウ川では「宇宙讃歌」、ハドソン川で「地球讃歌」、長良川で「人間讃歌」を成功させ、共感するミュージシャンとともに、音楽を通じた世界平和を訴え続けてきた。
1998年には、伝統楽器とオーケストラ、シンセサイザーによる『源氏物語幻想交響絵巻』を作曲。東京、ロサンゼルス、ロンドンで初演、自ら指揮棒を振った。2001年には、東映50周年記念作品『千年の恋 ひかる源氏物語』を作曲。また、東京ディズニーシー・アクアスフィアのための3面立体音響シンフォニーを手掛ける。
2002年には、作曲活動50周年、シンセサイザーでの音楽制作30周年の節目の年を迎えた。2005年3月開催の愛・地球博(愛知万博)の公式催事である前夜祭セレモニーをプロデュースした。
2016年5月5日午後2時51分に慢性心不全のため東京都立広尾病院で逝去(享年84歳)。倒れる1時間前まで11月11日初演予定の新作の交響曲「Dr.Coppelius」についての打ち合わせをレコード会社の担当者と行なっていた(遺された楽譜と芝居の構想に基づいて完成させたものが上演される予定)。 葬儀は5月7日、8日に近親者だけで執り行われ、お別れの会が6月15日に青山葬儀場で神道の形式で(参列者800人で)行なわれた。諡(おくりな)は冨田勲大人命(うしのみこと)。
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